抱えて

人は、色々な事情を
抱えて生きているものだ。
そういう事情に、
ひとつずつ、きっちり
決着をつけながらでなければ
次のことを始められないというなら、
人は何も始めることなどできないのだ。

人は誰でも、様々な事情を
否応なくひきずりながら、
前のことが終わらないまま、
次のことに入ってゆくのだ。
そうすることによって、
風化してゆくものは風化してゆく。
風化しきれずに、化石のように、
心の中にいつまでも
転がっているものもある。
そういうものを
抱えていない人間などはいないのだ。

(神々の山嶺(上)、夢枕獏)

人それぞれ、
いろんなものを抱えている。
それをいつ下ろすか、
下ろさない方がいいのか、
下ろしてしまった時にかえって、
他のものを抱えることにならないか。
そんなことを考えながら選び、
生きて前に進んでいくのが人生かな。