温泉

湯の温度はころあいになった。こうして人肌よりいくらか温かな湯に身を委ねていると、体どころか頭までもが、しどけないほどにほぐれてくる。
 ああ、いい気分だ。もしかしたら温泉には、さまざまの思索を促すという、もうひとつの効能があるのかもしれない。

(天子蒙塵2、浅田次郎)