少し様子を見る

トラウマのない人であれば、相手の言動に多少の違和感があったとしても「少し様子を見る」ということをするでしょう。相手に質問してみたり、いろいろな角度から考えてみたりするものです。もしも本当に怪しいことだとしても、「まあ、あまり関係が近い人ではないから気にしないようにしよう」などと相対的な位置づけを考えたりします。
 しかし「対人過敏」が刺激されてしまうと、少しでも「怪しい」と思えばすぐに「脅威のセンサー」が作動してしまい、「少し様子を見る」などということができなくなってしまいます。また、センサーが作動すると、とにかく脅威を排除しようとしてしまいますので、「まあ、あまり関係が近い人ではないから気にしないようにしよう」などという客観的な考え方ができなくなるのです。これは少しでも煙を探知するとスプリンクラーが作動して水が噴射されるようなもで、その煙がどの程度危ないものなのかということもきちんと評価できていませんし、いちいち水を噴射してそのあたりをめちゃくちゃにする以外の対応法があるのではないかということも検討できていない、という状態です。そんな余裕はないのです。
 そんな様子は、周りから見れば、「なぜこの程度のことで?」と思えますし、「何もそこまで怒らなくても...」というふうに感じられます。

(対人関係療法でなおす トラウマ・PTSD、水島 広子)