あうん

超能力者でもないかぎり、相手の気持ちが手に取るようにわかるなどということはまずありえません。だから「言葉」という手段が人間に与えられているのです。仲のよい夫婦の場合、「あうんの呼吸」などということはたしかにあります。でも、それも、毎日毎日時間を共有して相手をよく知ったうえでのことです。結婚当初は相手の考えていることがよくわかったのに、お互いの生活に忙殺されているうちに、いつしか知らない人のように思えてきた、というようなケースも少なくありません。十分な量のコミュニケーションをもつことでしか、人間は相手の気持ちを理解できないと割り切るべきです。言葉を通してしか相手の気持ちが理解できないのと同じように、自分が相手に言葉で伝えていないことは、相手には理解されていないと認識することが必要です。

(自分でできる対人関係療法、水島 広子)