平凡

ただ、彼が世の若者と違っていたのは、自分を平凡だと見極めて、その平凡な器の中に非凡な才能だけを暖めつづけた点である。傑出していたのはその「見極め」である。世の若者は、平凡さを非凡に見せかけようとするが、彼は非凡であることを素直に受け入れていた。たぶん、彼の天才は、その平凡さのなか以外では花開かなかった相違ない。

(棋士という人生)