かなしみ

かなしみには、ざっくりわけて、ふたつのタイプがあるのよ。ひとつは、重たいものが心にすみついて、はなれないタイプ。もうひとつは、心からすべてをとりあげられて、からっぽにされてしまうタイプ。重たいかなしみには、じきに、なれることもできますわ。時間をかければ、その重さにたえられるくらい、わたしたちは頑丈になれるかもしれない。やっかいなのは、からっぽのほうよ。こっちのかなしみは、ほんとうに、わたしたちをむしばむの。こじらせると、よくないことになる。とてもよくないことに。

(出会いなおし、森絵都)