捉える

剣術とはなにかと日夜考えていた頃があった。相手に先んじてわが身を踏み込ませ、一瞬でも木刀を早く振るい、叩く。剣術を勝ち敗けだけと捉えるならば、それでよかろう。だがな、何年も考えているうちに、剣や木刀の遅速だけではつまらぬと思うようになった。剣者の動きと動き、意志と意思の間合いこそ大事なことではあるまいかと思うようになったのだ。その間合いを、遊びと言い換えてもよい。

(居眠り磐音(24)─朧夜ノ桜、佐伯泰英)