予習

人は必ず死ぬという共通の運命のもとに、この世に送りだされている。長短はあっても、この世の生のあとには、未知の無限のあの世の時間に旅立たねばならない。
 この世で、どんなに人を愛しても、大きな仕事をしても、あるいは常に悲運のまま苦痛の人生を送っても、死は等しく平等に訪れる。人の死を送ることは、自分がやがて送られる日の予習になる。

(生きてこそ、瀬戸内寂聴)