番人

人間は物にかかわりつつ生きてゆくとはいえ、死ねば、多くはただのごみになってしまう。しかしかつて死者に属したものである以上、...捨てる気にもなれず、当人にその意識はないものの、よそ目には遺物堂の番人のようになって暮らしている。
 ときに整理をしようと思いたつことも、むろんしばしばある。
 しかし、埃だらけの中にある雑多な物にどのように手をつけていいかわからず、物どもの中に顔を突っ込むだけで気力が尽きてしまう。

(ひとびとの跫音、司馬遼太郎)