設計図

野菜をせっせと切っていると、たまに...不思議な気持ちになる。迷路のごとく複雑に張りめぐらされたキャベツの葉脈。大根の断面の透きとおるような白さと、白さのなかに精密な模様が描かれている様子。どこまでも出汁や油を吸うナスのスポンジ感と、目には見えぬ輪を縁取るように並んだ小さな種。
 切った野菜を明かりに透かして、すごいなあと見入ってしまうことがある。どれもこれも、だれかが設計図に基づいて作ったみたいに、うつくしく精妙だ。野菜ばかりではなく、魚の内臓の配置、骨の形、目玉や鱗の質感も。

(愛なき世界、三浦しをん)