共依存とは、生きる術

もし、アルコール依存症の夫や父親がいて、そのせいで家庭がメチャクチャになっているとしたら、妻として、子供として何ができるでしょう。その依存症者に心身ともに頼ることなく生きていけるのであれば、家を出て行くとか、別れるという選択もあるでしょうが、なかなかそれが出来ないのが現実です。そのような環境の中で、生きる術として育まれてしまうのが「共依存」だと思われます。

そのひどい環境の原因を自分自身に感じ、自分の責任で何とかしなくちゃいけない、何とかできるはずだと思い、がんばろうとする生き方。アルコール依存症に限ったことではありません。ギャンブル依存症でも、買い物依存症でも、その他のどんな依存症でも、家族としての機能をこわしてしまう依存症には、同じような危険性があります。

共依存なのか、愛なのか?

愛というものは、人のために尽くすことで、共依存というものは、人のためになると思い込んでがんばることでしょう。しかし、実は、その違いは微妙です。また、「人のためになると思い込んで」がんばるのが、必ずしも共依存という病気とは限らず、性格的な自己満足である場合も少なくありません。

決定的な違いは、その尽くす対象として、依存症者(ほとんどの場合は家族)がいるかどうかになります。したがって、共依存になりやすい性質の人間が、ただ一人で生活している状態においては、何の問題もないでしょう。家族など身近な人間関係において、その性質を「利用された」時に、その共依存という病気がもたげてきます。

自分で決められない

私は、自分自身について、共依存になりやすい性質の人間だと自覚しています。その原因は、幼い頃から、統合失調症だった母親の存在です。事あるごとに問題を起こす母親、その母親に頼られ、父と祖母からは、その母の面倒を見るのはおまえだぞと使命感を植えつけられて育ったので、10代の頃から、私の「生きる術」として身についた性質のようです。

自分を見るに、共依存の人は、自分の感情や要求に気づかないことが多いです。場合によっては、自分の感情を無視しているかもしれません。そして、他人の必要に合わせて生きるので、自分のしたいことがわからなくなり、自分で何かを決めなければならないときにはひどく時間がかかります。たとえば、母親が家に居なくなった今でも、夕食の準備などに際して、私自身に楽なようにメニューを考えればいいものを、夫や子供たちの意見を聞かずには、決められなかったりするのです。

自分と他人の境界

共依存の人は、人が感じて、考えていることを知ろうとし、そのために多くの時間とエネルギーを費やしている気がします。そして、それが当たり前と思っています。相手の感情と自分の感情を混同してしまっているのかもしれません。わたしの夫は、共依存という病名を知る前に、わたしの状態を「いい人病」とか「自他同一障害」と呼んだりしていました。それだけ、自分と他人の境界がないように見えたのでしょう。

あまりに長いこと感情を装っていると、人の感情が自分の感情であるかのように思えてきます。本人は、素直にそんな感じになるようです。自分の本当の感情や気持ちに従って行動するのはなく、人から受けとった感情や気持ちをベースに物事を判断するようになっているからです。だから、他の人にとっては、間違いなく「いい人」であり、好かれやすいです。ただ、そこに落とし穴もあります。

悪用される人格

いい人、博愛主義といえば、聞こえは悪くありませんが、悪意のある人に、そういう性質を利用されたり、本当は「ノー」と言いたいのに「イエス」と言ってしまって、あとで困ったりする状況から考えると、「いい人」では済まされない問題もはらんでいます。悪用される可能性のある性質、または病気なのでしょう。

考えてみれば、境界のない人間関係ですから、巻きこまれやすい状態があるのは、当然なのです。自分の感情が、人の感情にからみあって、巻きこまれているのです。悪意のある人から見れば、無防備で、侵入しやすい状態に違いありません。最初は、悪用する気のなかった人でも、あまりにも「いい人」で、自分にとって心地よいがために、それに甘え始めて、ダメになっていく人がいるのも理解できます。そんな関係を築いて、お互いがダメになってしまう前に、この共依存についての理解が深まるよう、このサイトがお役に立てれば、幸いです。


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