あなたも私も統合失調症予備軍かもしれない

昔は、精神分裂病と呼ばれていたこの病気。重症感がただよう病名と、ときに理解に苦しむ症状に、戸惑う家族は少なくなかったことだろう。病名は、統合失調症に変わったが、相変わらず、家族には分からないことが多い。ただ、患者と付き合っていれば、いろんな発見があり、自分の生き方、家族とか人生を考えるきっかけになる。

その気づきのなかで最大のものは、統合失調症ではなくても、精神病になるのは他人事じゃないという事実。あなたも私も、いつ発病するか分からない。事実、統合失調症になった人の大半は、まさかなるなんて思っていなかったはず。だからと言って、心配しすぎるためでなく、この統合失調症を知っておくために、このサイトがお役に立てたら、嬉しい。

正常と異常のボーダーラインは?

うちの実家は、農家だった。統合失調症のゆえに16回もの入退院を繰り返していた父親が、また具合が悪くなった時、秋の収穫にまだ2ヶ月もあるというのに、朝早くから手作業で稲刈りを始めた。周囲から見れば、まさしく異常行動である。しかし、ユーモアのセンスとか、価値観の多様化ということで見れば、「ありえるかもな」という話にさえ出来る。はたまた、研究熱心な農業家のおじさんが、稲の生育状況を見るため、稲刈りをしているのなら、正常な話である。

そんなことを考えると、正常と異常のボーダーラインはないかもしれない。自分の常識は他人の非常識、他人の常識は自分の非常識というように、人それぞれの見方、価値観によって、正常と異常というものも変わるだろう。まして、同じ行動であっても、状況によってどんなふうにでも見える。要は、自分に理解できないことに出会った時に、その人が、正常と見たいか、異常と見たいか、それだけのシンプルな話になる。

狂っている世の中

狂っているのは世の中の方で、自分ではない、と思いたい。それは、統合失調症の人でなくても、そうだろう。実際、そう思えるような風習や習慣、社会構造、不公平は、世の中に腐るほどある。それを気にしだしたら、だいたいの人は、生きることさえできなくなるだろう。

人は、人生が公平でないことを悟れるくらいに成長しなくてはならない。
そしてただ、自分の置かれた状況のなかで最善をつくすべきだ。
(スティーブン・ホーキング)

私たちは、そういう異常性を受け入れながら、生きていく。人間の心にあるセンサーは、そういう異常に反応するわけだが、そのセンサーの感度が良すぎると、ものすごい異常でなくても、ちょっとした変化を見ただけで、四六時中ビンビンと反応し、大変なストレス状態になるだろう。その状態が、統合失調症だと思う。

病気という個性

やさしい、怒りっぽい、もの静かだ、うるさい、というものは、人間の個性として理解されるが、その程度が、ちょっと理解を超えてしまうと、個性とは思ってもらえない。「病気」と言われる。そして、残念ながら、日本では、病気つまり精神病は、偏見の目でも見られる。今でこそ、少しずつ理解の目は開かれてきたが、昔には、もっと大変だったろうと思われる。

患者さんによっては、精神病にかかったよりも、日本という国にいることの方が辛いことだと感じるかもしれない。ストレスに弱い自分の体質や、コントロールが難しい感情に苦しみながら、社会的な差別や偏見にも苦しむというのは、治療をも左右する。しかし、人生にはストレスがつきものだから、自分自身だけでも、自分の個性を認めて生きていくが必要だ。

恐れと付き合う

統合失調症患者の行動の根底には、「恐れ」があると言われる。場合によっては、現実が崩壊するような恐れを抱いている統合失調症の患者もいる。そして、何らかの恐れが、周囲の理解しがたい行動に走らせる。それが、周囲にとっては「恐れ」となる。恐れている本人、それを恐れている家族、そこにはストレスが生じる。得体の知れない「恐れ」であるゆえに、ストレスは大きい。

ストレスを完璧になくすのが難しいように、恐れも完璧になくすなんてことは難しい。何を恐れているのかを聞き出して、諭すことが出来れば諭し、強く励ますことが出来れば励まし、やらなくてもいいことであればやめさせて...。毎回同じようなことにつまずきながら、恐れと付き合っていく。恐れが1つ消えれば、また別の恐れを持ってくるような感じ。楽に生きていくためには、それを消すよりも、付き合う方法を見つけた方がいい。


趣味の大切さを、改めて感じた一文。趣味が仕事のようになると、その「効果」も薄れるかもしれませんが、いい感じで趣味をもっていることは、いいなぁ。「拒食症と過食症の治し方」からの引用。趣味をもつことでストレスに強くなる同じくらいのストレスがあっても、心身の健康を保っていられる人と、そ…つづき - 16/12/18 -
最近、読んだ本で、「適応障害」というものについての分かりやすい説明を見つけた。 正確な情報を見つけて、ちゃんと理解すれば、あまり深刻に考えなくてもいいようになるもんだなと思った。以下、引用。 -引用- 精神科で診断される病気の中で、最も多いものが「適応障害」だといわれています。適…つづき - 16/02/06 -
言葉には、力があるから、いったん出てしまったものは、その力を消すのに、なかなか難しい時もあります。時間が必要というか...たとえば、「気持ち悪い」という言葉。慣れしたんで、気心知れた仲であれば、言われた本人も聞き流せる、ということもあるでしょう。しかし、何かに対して、誰かに対して…つづき - 15/07/07 -
どんな病気に対してでも、そうだろうと思いますが、家族が病気になった時には、出来る限りのことをしたい、治すためにはどんなことでもする、という気持ちになるのが家族です。でも、その一生懸命さだけで、治らせることができるとは限らず、やっぱり、適切な対応を学ぶ必要があります。こんな本は、ど…つづき - 15/02/05 -
図書館に新しく入っている本を見つけた。マンガ。お母さんが、統合失調症になった状態に、幼い女の子が認識していくために、どんなふうに導いていったらいいか、という感じのストーリー。実際、大人だって、その認識や、どう助けたらいいか、どう向き合ったらいいか、難しい。子供に対して、それを教え…つづき - 14/09/07 -