誰かになにかを伝えたいときは、
そのひとに抱きついてから
話せばいいんだ。
抱きつくのが恥ずかしかったら、
手をつなぐだけでもいいから。
(きよしこ、重松清)
この言葉は、
「言葉は、信頼関係の
中ではじめて力を持つ。」
(山田ズーニー)を、
子供にも分かるようにしたものだろう
と思います。
しゃべるために
抱きつくのが目的じゃなくて、
抱きつけるような関係を築いて、
しゃべられるようになることが
目的だと思うんです。
ただ、最初から
抱きついてもいい人間関係、
というものもあります。
恋人であったり、
夫婦であったり、
親子、友人であったり…
逆に、
そういう人間関係なのに、
抱きつけないとすれば、
そうなってしまった関係の中に、
大きな問題があるのかもしれない。
それを解決しないでは、
どんな言葉で伝えても
伝わらないかもしれない。
けれど、
抱きつくという行為の中で、
お互いの心が溶けあって、
しゃべられるようになることも
あるかもしれない。
言葉を伝える力をもらうため、
もしくは言葉に力をもたせるため、
少なくとも、手をつなげる関係に
なっていなくちゃ伝わらない。
そう思うと、言葉を発する前に
もっと賢くなれそうな気がします。
(参考)きよしこ(重松清)