また朝がやってきた。
本当に不思議だ。
どんなにショッキングなことがあっても、
日常はきちんと進んでいく。
(幸福な食卓、瀬尾まいこ)
失恋をしても、
大切な人が亡くなっても、
昨日はうまく隠せた失敗があっても、
必ず、朝が来てしまう。
ちょっとくらい
止まってくれてもいい、
足踏みしたっていいんじゃない、
という訴えなどに
聞く耳をもたない「時」は、
正確に時間を送ってよこす。
時間は、みんなに平等だ。
それが分かるのは、
時間が解決してくれたとき。
無情にも思える時間だからこそ、
その時間の流れにともなって
起こる新しい出来事が、後になると、
ありがたかったりするのだ。
新しいことが起きれば、
心も体も少しずつ反応していく。
逆に、反応しないと、
新しいことが起きても、
何の意味もなくなってしまう。
同著には、
彼氏を亡くした女子高生の
こんな言葉もあります。
「朝ごはんを食べ終わると、
私は途方にくれた。
することややりたいことは
何一つないのに、
自由な時間が目の前に山ほどあるのだ。
それがこんなに苦痛だとは
思いもしなかった。」
そんなふうに、
時間についていけない時には、
誰の助言も、言葉も、耳に入らない。
自分の中から湧いてくるもの以外、
自分を変えられるものはないからだ。
誰も入っていけない心の中にも、
時間だけは入っていける、
ということなのだろう。
(参考)幸福な食卓(瀬尾まいこ)
No.2472