あのね、人間が無条件に
優しくなれるのは
相手がホントに死人の箱に
片足突っ込んでからなの。
何でも我慢できるようになるのは、
相手がホントにこれから死ぬってことが
目の前にぶら下がってからなの。
人間は生きてたら絶対
些細なことで喧嘩すんの。
些細なことで喧嘩してるうちは、
死がまだ現実的じゃないってことだよ。
(ストーリー・セラー、有川浩)
ささいなことでケンカできるうちは、
お互いに「まだまだ生きている」
という前提でやっている。
そして、
ケンカしやすいというか、
話がうまく噛み合わない、
話を聞きたくない相手
というのは決まっているもんです。
もし、その相手が、
余命1ヶ月と宣言されたら、
たしかに、相手のことや関係を
ちょっと考えるようになる。
昨日までは
イライラしたり、
カチンと来ていたことについて、
まあ、付き合いも、
残り少ないから…
とガマンできるようになる。
もしも、その余命が、
1年だったらどうだろう?
5年だったらどうだろう?
途中から、
ガマンできないって気持ちが
もたげてくることも
あるかもしれません。
やっぱり、
ささいなことがケンカになる関係は、
ささいな期間、短い期間しか
ガマンできないのでしょう。
大きなことでしか
ケンカにならない関係なら、
もっと長い期間をガマンできる。
無条件の優しさって難しい。
そもそも残りの期間が見えるから、
優しくなれるっていうのも、
無条件じゃないわけですし。
(参考)ストーリー・セラー(有川浩)
No.3911