世間とは、
いったい、何の事でしょう。
人間の複数でしょうか。
どこに、その世間というものの
実体があるのでしょう。
…
世間というのは、君じゃないか。
それは世間がゆるさない。
世間じゃない。
あなたが、ゆるさないのでしょう?
そんな事をすると、
世間からひどいめに逢うぞ。
世間じゃない。
あなたでしょう?
いまに世間から葬られる。
世間じゃない。
葬るむるのは、あなたでしょう?
(人間失格、太宰治)
人は、世間にどう思われるか、
気にして、怖がっている。
けれど、そもそも、世間なんてものは、
存在しないんじゃないか。
移ろいやすい、
群集心理みたいなものを、
世間と呼んで、それを
怖がっている場合が多い気がする。
「みんなが持っている」
「みんなが見ている」
「みんなが思っている」
その「みんな」に対して、
聞き取り調査をしたわけでもないのに、
「みんな」とくくることで、
自分を追い込んだり、
勘違いに導いていることが多い。
一方、
「みんな」という表現を武器に、
人を利用したり、
動かそうという人もいる。
そんな人、いないよ!
(ここにいるじゃないか。)
とは言っても、世間は強い。
できれば、その世間と
真っ向から戦うことなく、
世間に気づかれずに、
自分の道を進める方法を
探せたら思う。
(参考)人間失格(太宰治)
No.5611