忘れることができた
なんて言うのは、
つまり忘れてないからだよな。
(実験的経験 Experimental experience、森博嗣)
忘れようと思って、
忘れられるもんじゃない。
時間が経つなかで、
それに詰め込まれていく出来事とか、
思いがどんどん増えていくと、
押し出されて、
忘れていけるもんだと思う。
だから、そればかり
考えているうちは、
押し出してくれる新しいものが、
何ひとつ入ってこない状態だから、
忘れられるわけがないのだ。
そこに留まってしまう人には、
すこし不謹慎かもしれないが、
その忘れられないこと以上に、
大変な災難とかハプニングが起きないと、
そこから離れられないだろうと思う。
一番いいのは、
そういうハプニングというか、
心が移っていくイベントを、
自分で作れること。
新しいことに
夢中になっている時、
人は、過去も何も、
思い浮かべていることはない。
だいたいは、
目の前のことを
とらわれているもんだから。
人間は忘れられる。
それが、すごい才能。
覚えておく蓄積で
前に進めることもあれば、
忘れてしまう消去で
前に進めることもある。
どちらもあるから、
人間は、すごいもんだ。
(参考)実験的経験 Experimental experience(森博嗣)
No.5613