あんたたちは、そりゃあ、
たいした力は持ってないさ。
でも、そんなぽっちりの力でも、
ないよりはましなんだ。
(七夜物語、川上弘美)
ないならないなりの、
力の使い方をすればいい。
あるようなフリをして、
どこかで墓穴を掘ってしまう。
本著にはこんな言葉もあった。
「自尊心とは、どんなものか。
それは、へりくだる心を持っている、
ということである。
ここでくれぐれもまちがえてほしくないのは、
へりくだる、というのは、
人よりも自分が劣っていると、
へいこらする気持ちではないということだ。
へりくだるというのは、こういうことだ。
自分は、世界の中心じゃあないんだ。
自分よりもすぐれた人は、たくさんいるんだ。
自分が生きてゆくためには、
いろんな人の助けがいるんだ。
自分は少しはもの知りだけれど、
それはたいしたことじゃないんだ。
でもそういう自分にだって、
いくつもいいところがあるんだ。 」
力がないからって、
自分を卑下することなく、
それでも出来ることを
しっかりやっていく中で、
いっしょにがんばれる仲間を
見つけたり、
自分の力をちょっとずつでも
磨いていくこと。
そういうことが、
大切なんだと思う。
力のある人、才能のある人を、
いくらうらやんだところで、
自分を卑下したり、
コンプレックスでイライラしたところで、
力も、才能も、湧いてくるもんじゃない。
そういうことに気づけるのも、
力であり、才能だと思う。
(参考)七夜物語(川上弘美)
No.5678