わしが精進しろ、はげめと
口を酸くして言うのは、
怠けていては己が真の才に
めぐり合うことが出来ぬからだ。
しかし精進すれば、
みんながみんな上達するかといえば
必ずしもそうではない。
真に才の才ある者は限られている。
そういう者があるときから急に強くなるのだ。
(蝉しぐれ、藤沢周平)
高3長女が、
家を出て行って思う。
親として、
やってあげられることが、
だんだん少なくなっていくなぁ、と。
とはいっても、
毎日のようにSkypeで
ビデオ通話やメッセージの
やり取りをしているから、
まだ頼られている実感があり、
それが絆みたいなもんだと感じる。
もしかしたら、それによって、
こっちが頼っているのかもしれないが。
振り返ってみると、
ひとつ違いの次女と合わせて、
この2人が小学生高学年の頃より、
卓球を覚えさせ、
一生懸命に励まさせてから、
私自身は、
自分の仕事よりも、
娘育てのほうに力点が
移っていたように思う。
仕事に夢中になれば、
極められるように、
子育てや卓球も、
夢中になれば、
そちら方面の才能が
伸びたもんだと気づかされる。
おかげで、仕事のほうは、
足踏み状態だったことだろう。
それほど上手じゃないことでも、
夢中になって励めば、
その努力に応じて分かってくること、
身についてくることが増えるもんだ。
夢中になる性格は、
長女にも引き継がれているようで、
いまは、アルバイト先のメニュー覚えに
励んでいる様子。
いろいろなことに夢中になり、
励んでいけば、そのうち、
最高の出会いもあるんだろう。
(参考)蝉しぐれ(藤沢周平)
No.5900