気配というのは不思議なものだと思う。
五感のうちの視覚を消しても、
聴覚、嗅覚の補助がなくても、
人が人に向ける意思のようなものを
漠然と感じとることがある。
(神様がくれた指、佐藤多佳子)
こいつ、ちゃんと
寝てるかなーと、
自分が布団に入る時には、
目をこらして
隣で寝ている妻を見ます。
すると、思わず、
目が合ったりする。
おいおい、
まだ寝ていないのかよ、
と言えば、
ん?今ちょうど目が覚めただけ、
とか言ってくる。
視線を感じて、
眠りから覚める人が
いてもおかしくない。
それこそ、戦時の人とか、
命をねらわれている人は、
それくらいの敏感さは
持っていたんじゃないかと思う。
体温とか呼吸とかが
伝わるんじゃなくて、
存在そのものの力。
だから、同じ場所に立っていても、
気配を感じられる相性と、
なかなか感じられない相性
っていうのもあるんでしょう。
(参考) 神様がくれた指(佐藤多佳子)
No.7465