新しいものが始まる。
古いものに執着している人たちにとっては、
新しいものは恐ろしいだろう。
きみはどうするかい?
(デミアン、ヘッセ)
新しいもの、古いもの、
どちらが正しく、誤っているという判断は、
出来れば避けたい。
仕事の用事で、
今(2003)の皇后・美智子様の
生家 正田邸の前を通った。
「昭和の名建築、正田邸を守ろう」
という垂れ幕を持つ住民と、
無表情で立ち並ぶ警官の姿、
各テレビ局の中継車、報道陣の数が、
テレビで見る以上に、
物々しく感じられた。
そんな時、この言葉を思い出した。
古いものを守ると、
古いものに執着するの違いは何かって。
もしかしたら、
それに愛着を持っていない人にとっては、
たいして違いはないんじゃないか、と。
日本全国を見れば、他では、
学校校舎を守る側と、
その解体業者との関係を守る町長の対立が
激しかったりするシーンも見られた。
そういうことを考えると、
本質には、古いと新しいの対決でなく、
こっちとあっちの意図や利益の対決が
あるんだな、って思えてきた。
新しいものが始まる利益を求めるもの、
古いものに止まろうとする利益を求めるもの、
それは何も金銭的な問題だけじゃあない。
懐かしさ、好奇心、いろんな感情も含めたものだ。
どんな言葉を使おうとも、
自分の利益を守ろうとする姿勢は、
いつか、明るみに出る。
新旧の問題と、決めつけないほうがいい。