人間は、これこそが自分自身だと思っているものを守ろうとして…

人間は、これこそが
自分自身だと思っているものを
守ろうとして壁をめぐらす。
そしてある日、
その壁の内側に閉じ込められ、
出られなくなってしまうのだ。

(ナイト、ロバート・フィッシャー)

知り合いの女社長がこう言う。
「守りばかりする人との
 会話は楽しくない。」

なぜか? そういう人達は、
自分の価値観、あるいは、
自分の囲いの領域から外れる話題に対しては、
否定するか、無視するかのいずれかで
対応するので、そう感じるらしい。

それは、彼らがそうしないと、
自分の存在意義自体が否定されたように
感じるという心理的な要素があるためだと思う。

自分を振り返ってみても、それが分かる。
自分が信じていること、価値観に話題がふれ、
何かしら非難や批判を受けたとき、
やはり、心を閉ざそうとする自分がいる…

しかし、よくよく本質を見てみれば、
それは、決して、自分に向けられた批判ではなく、
逆に、その相手が自分の価値観や囲いを
守るために、そのような行動をしている場合が多い。

ということは、お互いが守れば、
守るほど、議論は収集がつかなくなる。
自分ばかりを守っているから…

守るために、相手を攻撃する。
何か矛盾しているようだが、
心には、そういう弱い本質が隠されている。

子供たちが幼かった頃、
チキンランという一風変わった映画で、
ヒロインの鶏が口にした言葉を想い出す。
「フェンスは小屋の周りだけでなく、
 みんなの頭の周りまで囲っている」

外に張り巡らされたフェンスには気づいても、
自分の頭の周りに自分でつくってしまったフェンスには、
なかなか気づけないものなんだろう。
人間も、やっぱり…

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