
だれにだって
あるんだよ
ひとにはいえない
くるしみが
だれにだって
あるんだよ
ひとにはいえない
かなしみが
ただ だまっている
だけなんだよ
いえば ぐちに
なるから
(相田みつを)
人には誰でも、他者に言えない悲しみや苦しみがあるものです。しかし、それを黙っていることができる人は多くありません。どこかで、どうして自分だけがこんな目に遭うのかと、誰かに語りたくなることもあるでしょう。
そのような時、信頼できる友人に愚痴をこぼすのは悪いことではありません。ただし、苦しみや悲しみを強調し続けることに執着する人との付き合いは、時として疲れるものです。何人もの人に共感を求め続けることで満足を得ようとする人もいますが、その姿勢が際限なく続くと、話を聞く側は疲弊してしまうでしょう。
人生は限りあるものです。その時間を、ただ苦しみや悲しみを発表するためだけに費やすのはもったいないと感じます。私たち一人ひとりには、それぞれの悲しみや苦しみがあります。そして、それを背負いながらも毅然と生きている人々も少なからずいるでしょう。そのような人々に出会った時には、心が安らぐものです。
私たちもまた、そうした存在になりたいと願います。自分の悲しみや苦しみに囚われることなく、それを乗り越えて周囲に安らぎを与えられるような人になりたいものです。