中立

記者は中立であれと言われる。しかしそれは不可能だ。自分は中立だと主張する時、記者は罠に落ちる。全ての事件について全員の言い分を際限なく取り上げることはできないし、するべきでもないからだ。記者は常に取捨選択をする。誰かの主張を書くことで、別の誰かの主張を無視する。それは紙面には現れないけれど、その選択において記者自身の見識があらわになる。主観で選択をしているのに、どうして中立などと言えるのだろう。

(王とサーカス、米澤穂信)