あいさつ

確かに子どもたちには礼儀を教える必要がある。近所の顔見知りに会って会釈もしないという態度は、寂しいなどという生やさしい言葉では言い尽くせない。無礼である。だが誰にも彼にもむやみにあいさつすればいいというものではない。悪人は、表面は親切ごかしに「こんにちは」と話しかけてくるものだ。あいさつした人間はいい人間などという単純な価値観は認められないし、そんなことに税金を注ぎ込むのは愚の骨頂だ。

(真実の10メートル手前、米澤穂信)