忙しい悩みは、必ず解決できる。でも、暇な悩みには…

忙しい悩みは、必ず解決できる。
でも、暇な悩みには出口はない。
気が滅入るばっかでさ。

(伊料理ラ・ベットラ・ダ・オチアイ、落合務)

自分で選んだ忙しさなら、
自分を納得させて、
確かに頑張れると思う。

でも、世の中には、
自分で選んでいない忙しさもあるわけで、
それに、どう対処していくかが問題だ…

そう、思いも寄らない忙しさに、
キチンと対処していかないと、
後で、逃れがたい「暇な悩み」が
来てしまうから…

1つの例がある。
宣伝で、ある食い物屋のオープンを知った。
どんなもんかと、オープン初日に、
うちの奥様と車で店の駐車場に入った。
車の数を見る限り、けっこう繁盛している様子。
(もしかしたら、経営者の予想を超えていたのかもしれない)

しかし、入ったとたんのあの感覚は、
今でも忘れられない。
お客のイライラしている空気が
体全体に伝わってきたんだよ。
想像できますか?

「うわぁ、まずいところに入ったかな。」
と思ったものの、逆に、哀れな気持ちも
心にわいてきて、そのまま席に着いた。

ほどなくして、
お客のイライラの原因が分かった。
原因は2つ。いや、3つあるようだった。

1つ、ウェイトレスの教育がなされていない。
(多分、経営者は、オープンの準備に忙しかったか、
 コストダウンばかり考えていたせいか分からないが、
 適当な人材を仮に置いたのだろう。
 オープン初日だと言うのに…)
教育されていないから、
身振りが自信なさげで、
お客の心配がなおさら深まる。

そして、お客に叱られ、
さらに、あたふたする始末。

2つ目、厨房の段取りも悪いらしく、
注文してから出てくるまでが遅い。
水やお茶でさえ、出てこない。
セルフサービスのお店でないはずなのに…

3つ目は、決定的。
どうやら、ま・ず・い・らしい…
私たちの隣に座っていた家族連れが、
(多分、それも長く待たされたのだろう…)
ほとんど口もつけずに残して、立ち去った。

それを見て私たちの心に、
さらに不安が広がったのは、
想像に難しくないでしょ。

オープン初日は、
ものすごく忙しそうに見えたそのお店。
私は、知人達に、
「試しに、食いに行ってきな。
 あの客接待で、あの味で、
 あの店がどういう行く末になるか、
 絶対、勉強になるはずだ。」と伝えた。

選んでいない忙しさに、どう対処するか、
お客との接点、お店のこだわりに、
どれだけ力を入れられるか、
本当に勉強になった例だった。

やはり、そのお店は、
開店1ヶ月を待たずに、
閑古鳥の鳴くところとなり、
今は、「貸店舗」の看板が出ている。

おそらく、そこのオーナーは、
今、債務整理という、
自分で選んだはずじゃなかった別の忙しさに、
振り回されていることだろう。

忙しさには、2つある。
自分で選んだものと、
自分で選ばなかったもの。

しかし、どちらも乗り越えられなければ、
「暇な悩み」が訪れ、
さらに苦しみが続くことについては、
どちらも変わりない。

【参考】
仕事は楽しいかね?(デイル・ドーテン)


常識にとらわれない100の講義(森博嗣)

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