悲劇と喜劇は表裏一体だ。
どちらか一方だけで人間を描くのは、
表現者として公正さを欠く。
(奥田英朗)
今年(2004)上半期の
直木賞作家の言葉です。
最近、思うのだが、
プラス思考、前向きという言葉は、
時おり、マーケティングのために
使われている場合もあるように思う。
つまり、それをエサに、
本やセミナーやいろんなものを売るためだ。
仮に、その人のブームが去ったとして、
それで、「プラス思考、前向き」という言葉で、
ぶり返すわけではない。
その証拠に、「プラス思考??」
とかいうタイトルの本を書いていて、
ブームが消え去り、
もがいている人も実際にいるようだし。
作家に限らず、
私たち自身も、人生にはどちらもあり、
ということを理解して、
すごした方がいい。
何でもかんでも、
プラス思考、前向きと、
自分の波長と合わないところでも、
無理すると、後で疲れたり
することもあるんじゃないだろうか。
「やる気」をなくせ、
と言っているのではなく、
どちらもあり、の人生を
味わう気持ちさえあれば、
いいのだと思う。
どちらもあり、
を受け入れられれば、
無理な「プラス思考」も、
「前向き」も要らない。
受け入れて、そこから、
どう進んでいこうか。
悲劇が来たら、
次には、どんな喜劇が来るのか、
眺めながら、自分を生かしていけたら、
いいんじゃないか、と思う。
そして、その先には、
また悲劇があっても、
受けいれられる自分なんだ、
と思っていればいいんじゃないだろうか。
生があれば、必ず死もあるし。
【参考】
空中ブランコ(奥田英朗)