その悲しみは宝物だ。 …

その悲しみは宝物だ。
ええ思い出をもらったな。

(のんのんばあとオレ、水木しげる)

好きだった女の子が
死んでしまい、
悲しんでいるところに、
父親がこう言ったのです。

人の死に際しては、
悲しみが微妙に違うと思う。

「お疲れさま」
と言える大往生もあれば、

「誰がこんなことを!?」
と怒りがおさまらないものもあり、

「辛かったね」
という病気との闘いの場合もある。

悲しみの思いのやり場がなく、
心が癒されない人々の表情が、
マスコミから報道されるのを
私たちはよく見ている。

それを考えると、
そういう悲しみを
宝物、思い出っていうものに
変えるためには、
かなりの時間が必要に思える。

お盆のこの時期、
亡くなった人について
思い出として心に迎えられるのは、

そういうことを乗り越えたか、
それらが関係ないくらい昔の相手に
対してだけでしょう。

私たちには、
関係ないくらい昔の人でも、
その人の死を乗り越えるために
苦しんだ人がいるだろう、

ということに想いを馳せると、
命のつながり自体が
思い出なんだなぁ、
という気がしてきます。

私もあなたも、いつかは
この世を去るんですねぇ。

(参考)総員玉砕せよ! (水木しげる)


こころの処方箋(河合 隼雄)

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