子供を持つとね、
一年のうち、そうね、
364日くらいまでは怒ったり
怒鳴り散らしたり、
そんなことばっかりよ。
理想と現実はかくも違うかって、
ほんと自分が嫌になる。
でも、でもね、一日か二日は、
本当に心から嬉しくて、ああ、
子供を持って良かったって思うの。
そんな瞬間のために、人は
親になるんじゃないかって思う。
(きみが見つける物語[三月の兎]、加納朋子)
子育てに限ったことでなく、
仕事でも何でも、
何かを育てていこうとする時には、
思い通りにいかない日々が、
その大半で、その対応に
忙しくなることが多いと思います。
だから、そういう中で、
ささやかなことでもいいから、
ちょっと思い通りにいった、
という喜べる瞬間があると、
とても嬉しいもんです。
とにかく、
何かを育てるっていうのは、
そんなに簡単じゃない。
逆に言えば、だからこそ、
人生にはいつも、
何かを育てるような時間が
あったほうがいいと思う。
育てるものがなくなると、
人は、たぶん、だらしくなる。
育てるものがあるうちは、
ちょっとしっかりしてくる。
自分の人生が、
自分だけのものじゃなくて、
自分が育てているものの先行きにも
かかわってくるわけだから。
どんな人でも、一つはできる。
それは、自分育て。
(参考)スペース(加納朋子)
No.2928