わずかしかもたぬ人ではなく、
より多くを欲しがる人、
それが貧乏人だ。
(セネカ哲学全集5)
少ししか持っていなくても、
足りないと思わなければ、
「貧乏だ」という気分にはならない。
多く持っていても、
足りないと感じてしまえば、
「自分は貧しい」と思ってしまう。
足りないというのが、
もしも、食べ物であれ何であれ、
自分に必要な絶対量を知っていて、
言っているのなら、それは、
きっと正しい。
そうじゃなくて、
誰かと比べて
「足りない」と感じているのなら、
その感情は、底なしだと思う。
何らかの方法で、
自分で、あるいは
自分以外の人の力で、
満たされたとしても、
その満足は、
そう長くは続かない。
もっと持っている人、
または他のものについて、
新たな比較が始まって、
「足りない」という感情が
キリなく続くことになるだろう。
仮に、
他の人と比べて
足りないことが
本当に事実だったとしても、
そこにこだわらなければ、
それはそれで、平安なこと。
とっても幸せだ、
という気分にならなくても、
平安な思いに
満たされていたら、
それはそれで
幸せなんじゃないだろうか。
(参考)セネカ哲学全集5
No.4624