動け動けと私の命が言っていた。
人生にオチはないし、
かなう目標もない。
ただ流れと動きがあるだけだ。
親しい人が死んだことに
すっきりする解決策はない。
会えないままで
しばらく元気なくどんよりと、
泥沼の中でももがくように、
ただ静かに生きていくだけだ。
世界に色彩が戻るまで。
それでも毎日
ほんのちょっといいことはある。
たとえば窓辺の花がきれいだとか。
同じような冴えない人と
薄闇みたいな世界の中で、
こうして目が合うとか。
そんなくらいのことを、
きれいな貝がらを
ポケットに入れるみたいに
力をためるしかできることはない。
(スウィート・ヒアアフター、よしもとばなな)
ああ、そっかぁ、そういうことか。
といつもオチがある人生経験ならいいけど、
必ずしも、そういうわけじゃなく、
良くもとらえられるし、
そうでもなくとらえられるし、
まったく無意味にとらえることもできる。
そういうのが人生かもな、と思う。
病気やケガになった時には、
治るまでの時間がもったいなく、
無意味に思えてしまう。
けれども、ゆったりと
治療に専念しているうちに、
こんな時間も自分には
必要だったんだなって
分かってくることもあります。
いいことばかりじゃない、
かといって、
悪いことばかりでもない。
それが人生。
人生のところどころに
転がっている何かを、
心持ち楽しく拾っていくのだ。
No.5528