ほんとうに大好きだったから、
悲しいんだ。
大好きじゃなかったら
悲しまずにすむけど、
そっちのほうが
悲しいじゃないか。
…
とにかく、いなくなったら
悲しくて泣いちゃうぐらい
大好きな相手がいるってのは、
幸せなことなんだよ。
(くちぶえ番長、重松清)
人が期待をかけるのは、
そこに、それに、その人に、
どれだけの思いを
注いだかで違ってくる。
実際、
たいした思いもないのに、
期待だけはかけることもできる。
ただ、思いが、気持ちが、
どれだけ強いかで、
悲しみも、喜びも違ってくる。
どうでもいいと
思ってることに、
そんなに悲しんだり、
喜んだりできるように、
人間は出来ていない。
だから、
深く悲しみたくない、
と思ったら、
注ぐ思いを少なくすればいい。
そのことから、
遠ざかればいい。
最初から、
あきらめてしまえばいい。
けれど、
そうやってしまえば、
深い悲しみがない代わりに、
大きな喜びもきっとない。
悲しみばかり遠ざけて、
喜びばかり近づけるなんて方法は、
世の中に、きっとないのだ。
(参考) くちぶえ番長(重松清)
No.5650