忘れられない何かがあるって、
忘れてしまいたい何かがあるより、
ずっと価値があるはずだ。
(ヴァニティ、唯川恵)
生きていれば、
忘れてしまいたいことは、
たくさん増えていく。
やり直したいこと、
記憶として
別のものにすり替えたいこと
なんかも、少なくない。
けれど、
それらを忘れたときに、
いい思い出の方も、
セットで消えてしまうとしたら、
ちょっと考え込んでしまうだろう。
それでもいいから、
すべての記憶を
消し去りたいという人は、
よほど嫌なことだらけの人か、
記憶が消えることで
自分のアイデンティティも
あやふやになってしまうことを
分かっていない人なんだろう。
わたしたちは、
未来にどう生きるかを
いくら語ったところで、
今の存在感を
示すことはできない。
あくまで、
過去にどう生きてきたかで、
今の存在意義を示せる。
自分あるいは他人にとって
忘れられない何かが、
いい意味でも悪い意味でも、
自分という人間の土台と
なっているんだろう。
いい記憶も悪い記憶も、
自分へのプレゼントにできる。
自分のなかでの
解釈次第なのだ。
(参考)ヴァニティ(唯川恵)
No.5820