自分の心を、
全部思ったとおりにあらわしたり、
文に書いたりすることは、
大人になっても
むずかしいことだよ。
しかし、口に出す以上に
わかってもらうように
話をしなければならないだろうな。
わかってもらおうとする努力、勇気、
それからもうひとつ
たいせつなものがある。何だと思う?
誠だよ。誠の心が言葉ににじみでて、
顔にあらわれて人に通ずるんだね。
(塩狩峠、三浦綾子)
分かってもらいたい、
という気持ちがなければ、
きっと、伝えるための
努力も工夫もしない。
しかし、
それを勘違いして、
分からせよう、
という押しつけ感情になって、
かえって分かってもらえない
ということもある。
もちろん、
それを受ける側の感性も
関係あるだろうが、
分かったもらうための工夫には、
終わりがない。
イヤになってもらわずに、
あるいは、
イヤになられた後に、
どう分かってもらうか、
どれだけ待てるか、
そういうことになるのかな。
(参考)塩狩峠(三浦綾子)
No.7103