私たちは新しいことを恐れる。
しかし、朝起きたとき、
私たちは恐れない。
その一日が、
まったく経験したことのない、
新しい一日であるにもかかわらず。
(銀の森へ、沢木耕太郎)
楽しいことが
待っている一日は、
前の晩から眠れなかったり、
いつもより早く起きてしまったり、
心が興奮してしまう。
で、楽しかったこととはいえ、
終わってしまえば、
ぐっすりと眠れて、
「楽しい」は過去のことになる。
興奮がないと、
前の晩から眠れないことも、
いつもより早く
起きてしまうこともない。
それはそれで、
健康的な生活なんだろうけど、
何かしら、刺激が欲しくなる。
そう思っていると、
今度は、嫌なことが迫ってきて、
そのせいで眠れなくなったり、
寝てもすぐに起きてしまって、
心の興奮をおさえられない
ということもある。
で、嫌なことも
終わってしまえば、
「ああ、よかった」と
ぐっすり眠れるようになって、
それもまた過去のことになる。
何事もいつかは終わる。
でも本当に終わるまでは、人は、
心動かされてしまうんだろうな。
(参考)銀の森へ(沢木耕太郎)
No.7652