ええな。忘れるんでない。…
なんもないこと、ないんだから。
これがあるんだよ。これが。…
あんたの、手だ。それから、ほら、足。
なに、ちぎれてなくなったってわけでねえんだから、
こんな怪我ぐれえ、じき治る。…
母さんが丈夫に産んでくれた、
立派な身体があるってこと、忘れるんでないよ。
いいねえ、…この身体さえあれば、何とでもなるもんだ。
(ニサッタ、ニサッタ、乃南アサ)
お金もない、コネもない、才能もない。
でも、生まれた時には、それよりも持っていない。
きっと、少し進めば、何か分かる。
助けだってもらえるかもしれない。
イヤだイヤだと、同じところに居続けるのが、
一番もったいない。