ただ、振り返ってみると、
右腕を失ったことは、悲劇的な経験ではなく、
むしろ偉大な祝福の一つだったというのが
今の正直な気持ちです。
(ジョン・B・ディクソン)
20代の頃、会社の同僚女子が、
若くして亡くなった。
葬儀に参列した際、
ご両親が嘆く姿を見て、
もし、自分が亡くなったら、
あるいは、自分の妻や子供がなくなったら…
ということに考えが及んだ時に初めて、
そのご両親の気持ちが伝わってきた。
と同時に、そういう時が、
彼らばかりでなく、自分にも必ず、
訪れることも実感した。
何かしらを失っていくのは、
人生では不変なことだ。
しかし、何かを失ったとしても、
時間が進むこと、
生きていかなければいけないことも、
不変のことだ。
私も、年を重ねてきたので、
「あったもの」「いた人」
を懐かしむのは、心が和む。
けれども、
「なくなったもの」「いなくなった人」
として考え始めると、とたんに、心が痛み始める。