自分の記憶に間違いない、
と言う者よ、
まず、1年前の今日、
悩んでいたことを言ってみなさい。
(英語)
If you want to test your memory,
try to recall what you were
worrying about one years ago today.
(ロータリアン)
記憶は、
美化されることもあれば、
その反対もある。
だから、昔の話を聞いたり、
それを語るときには、
真実が微妙に変えられたりする。
もう昔の出来事である以上、
それを厳密に確かめられないわけだから、
その時にどんなふうに思っていたか、
あるいは、今それをどう思うかの方が、
記憶や真実に、少し影響を与えてしまう。
だから、
誰かの失敗談や成功談を聞く時には、
そういうことを理解した上で、
聞いた方がいい。
失敗も、成功も、
おそらく、その時点では、
その本当の意味が分かっていない。
後々になって、失敗とも、
成功とも思える姿になってくる。
もしかしたら、
もうしばらく先の人生では、
正反対の解釈がされるかもしれないのだ。
記憶に頼り過ぎないようにしよう。
記憶は、あくまでも過去のこと。
そして、すべてのことが
記憶されているわけでなく、
もちろん、その断片が
記憶されているに過ぎない。
記憶だけ、過去のことだけで、
話を進める人間には、
進歩が見られないと思う。
また、何かの会話や、
話し合いをしている時に、
過去の記憶の点で、
理解が一致しないなら、それ以上、
追及しても無駄な場合が多い。
万一、証拠立てるものが
見つかったとしても、
みんなが認めるとは限らない。
過去のこと、記憶のことに、
必要以上のこだわりは避けよう。
そう思うのだ。
【参考】
燃えよ剣(司馬遼太郎)