世に義によって動く者は少ない。
たいていの人は恐怖によって
追い立てられ、
利によって誘われて動く。
だが、奇妙なことに、
義によって動く者が多いだろう
という期待は持っている。
恐らくこれは、
人間の持つ人間に対する
ロマンであろう。
(巨いなる企て、堺屋太一)
自分の動機は、
どこかしら不足しているのに、
他人には、
完璧な動機を期待していたりする。
それが人間の美しさでもあり、
弱さなんだろう、と思う。
インターネットが発達してきて、
人の正直さというものが、
もっと目に見えてきた。
自分の利によって動く。
しかし、感動の伝わり方も、
とても早い。
熱しやすく冷めやすい、
堅くもあり惑わされやすい、
弱くもあり強くもなれる。
どんな映画がヒットして、
どんな本がベストセラーになるか、
それだけを見てても、
人の憧れって、
「義」にあるんだなぁ、
と思っては安心する。
ただ、その「義」を行うのは、
誰にとっても難しいようだ。
ストレス、プレッシャーの前では、
その理想を自分自身が守れなくなる。
心と体は別々…
そんな矛盾を背負っていても、
ロマンをあきらめないで
生きる人間でありたいと思う。
【参考】
巨いなる企て(堺屋太一)