自分といえる自分などが、
どこにあろう。
ないはずのものを、
あなたは、
つかもうとしておいでられる。
(新・平家物語11、吉川英治)
じっくりと考えることは大切だ。
自分探しの旅などといって、
自分とだけ向き合う時間も、
ムダではない。
しかし、それがいきすぎると、
つかめないはずのものを
つかもうと、もがくだけになる。
「つかむ、分かる」とは言っても、
今の自分の理解を超えるものでない。
それだから、
それを超える自分があるのに、
それだけで自分を理解するのは、
自分探しどころか、
自分を閉じ込める危険さえある。
私は、そう思う…
まだ、形づくられていない自分を
つかむなんて、そうすぐに
出来るわけではないのだ。
ただ、時間が必要なこともあるでしょうし。
それが、自然と、経験や情報を
積み重ねてくれる…
自分はたしかに「ある」。
しかし、あると思っているところに、
「ある」とは限らない。
それを忘れないように、
思いつめすぎることなく、
生きたいものです。