悩まぬ者、失敗しない者は
ヒロインになることはない。
(図書室の海、恩田陸)
物語、映画でも、ドラマでも、
ヒロインを演じる人を素敵だと思う。
演じている人の魅力、
その演技の魅力なんでしょう。
でも、その演じられている人生を見てみれば、
浮き沈みがあって、大変な思いを
しているところが描かれているもんです。
ヒロインになるということは、
それを背負うこと。
そして、それを乗り越えていくから、
ヒロインとして輝いて見える。
悩みなど何もない、
平凡な毎日を送っている主人公が、
最後の最後まで、
安穏と生きているストーリーなど、
きっと、つまらない。
共感できる悩みや失敗があって、
それを乗り越えようとするから、
魅力が増してくる。
そうありたいと願う自分の姿と
重なってくる。
ヒロインを応援しながら、
自分のことを応援している
ようなところもあるでしょう。
わたしの場合、
中学生の頃に見た、
ジャッキー・チェンの映画とか、
ひ弱な少年が、カラテで
強くなっていく映画「ベスト・キッド」
なんかが記憶に残っています。
最初は、弱いんですよね。
とてつもなく弱くて、
強くなろうと練習している地道な期間がある。
映画のなかでは、その期間っていうのは、
それほど長くは描かれていないのですが、
現実には、きっと、
もっともっと時間が必要でしょう。
みんなのヒロインとか、ヒーローには
ならなくてもいいから、少なくとも、
自分の人生をちょっと変えられる人間には
なりたい。誰もが思っていることかもしれない。
そのための悩みであり、失敗かも。
(参考)図書室の海(恩田陸)
No.3437