どっちみち、この世に解決という奴が、…

どっちみち、
この世に解決という奴が、
有り得る筈がないではないか。

ひとつ解決できたとき、
ひとつ謎がふえているに
きまっているのだ。

(坂口安吾全集)

自分の願ったとおりに、
解決するなんてことは
めったにない。

政治ばかりでなく、
世の中の問題を見ていれば、
その複雑さに、
ひとつの解決に見えることが、
新たな問題を生み出すと
感じることさえあるから、
それはよく分かる。

生きているうちは、
新しい問題に
追いかけられる苦難の日々。

見方を変えれば、
自分のために新しい課題を
見つけられる幸いな日々。

ひとつ解決できたら、
ひとつ成長している。

そして、
次に迫ってくる問題に
ちょっと準備が出来ている。

それを越えれば、
また、もうちょっと…
そんな具合に、
人は成長していく。

だから、
すっかり、すっきり、
解決していなくてもいい。

そういう、あきらめにも似た、
受け入れる土壌が心に出来ないと、
いつまでも、解決を焦れて
苦しくなる。

解決ごときに焦れるなんて、
人生、もったいない。

生きているだけで、
ラッキーなのかもしれないのだ。

(参考)坂口安吾全集02

No.3961


こころの処方箋(河合 隼雄)

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