自分が支えていると…

自分が支えていると
思っているものに
しょせんは支えられている。

(隅の風景、恩田陸)

私たちは、
自分の価値を
確かめることで、

自分の今の努力に
やりがいを感じて、
もっとがんばろう、
っていう気にもなれる。

その一つに、
家族とか、大切な人を
「支えているんだ」
「支えてやっているんだ」
「俺が、私がいなきゃダメなんだ」
っていう気持ち。

自分のモチベーションのためには、
きっと、必要な思いなんでしょう。

けれど、それを、
根本の根本で思い込んでいるのは、
もしかしたら、傲慢かもしれない。

本当は、
支えていると思うことによって、
自分が支えられていることが多いのだ。

恩田陸さんは、同著でこうも言う。

 「俺がいなきゃこいつらは駄目だ」と思い、
 周囲もそう思い込まされているが実はそうでない、
 というのはよくあることで、
 そういう依存の関係こそが幻想であり、
 その幻想から覚めて
 おのおのが自立することが
 人間関係にとっての真の幸福である。

自分が思っていたほど、
支えになっていなかった、
あんまり価値がなかった、

ということが後で分かって、
ガッカリして「やる気」がなくなるようじゃ、
それは、依存していたこと。

「助けている」という気持ちに依存すると、
「助けられていたい」という依存と、
ほとんど同じということになりかねない。

それほど役立っているわけじゃない
かもしれないけれど、こうやって
「支えている」という気持ちによって、
自分は立っていられるんだ、
という謙虚さがあればいいのでしょう。

(参考)隅の風景(恩田陸)

No.4312

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