命に別状のない傷ほど、
人は痛いと騒ぎ立てるものです。
(水滸伝 2 替天の章、北方謙三)
痛い痛い、
大変だ大変だ、
怖い怖い、
騒げるだけ
騒いでいることがある。
あとになってみれば、
そのほとんどが、
それほどじゃないことが多い。
実際、騒げるだけ、
まだ大丈夫なのだ。
小さい犬ほど、
吠えると言う。
怖いから吠える。
人間も、きっと、
それに似ているんだろう。
騒ぎ立てる人間は、
自分の身にふりかかった事柄を
受け入れたり、受け止める余裕がなくて、
過敏に反応してしまうのだ。
あるいは、
「自分だけが大変だ」
「私だけが不幸だ」
「オレが一番苦労している」
みたいなメッセージを伝えたくて、
そういう方向性で、
まわりから注目されたくて、
騒いでいることもあるだろう。
大げさに騒ぐ前に、
騒げるだけマシだって
思えたら、
もう少し、自分のなすべきことを
早いうちに見つけられるかもしれない。
騒いだところで、
状況は何も変わらない。
「騒ぎ立てるだけの人間」
というレッテルを貼られたら、
ますます生きにくくなってしまう
のだから。
(参考)水滸伝 2 替天の章(北方謙三)
No.5606