何も残せなくても、…

わたしはこの世に
何も残せなくても、
わたしの子どもは
何か残すことになるかもしれない。
その子が残せなくても、
その子が産んだ子が
何かを残すことになるかもしれない。

でもそうなるのは、
わたしという存在があったから。
ちゃんと結婚して、子どもを産んだから。
歴史の中に点ではなく線で存在できる、
ということなのよ。
こんなに素敵で幸せなことはないでしょう。

(母性、湊かなえ)

生きてきた証を
何か残したいと思います。
自分にしか残せない何かを。

けれど、それがなかなか難しい。

たくさんの人々が
生きている世の中で、
「自分」はすでに
見えにくくなっている。

自分ですら、
それが分からない。

ただ、
そういうことを
ちょっとでも
がんばっていたんだ、
というエネルギーは、
引き継がれていくものだろう、
と考える。

それが、
自分の子供とかに
つなげられるのであれば、
それは幸いなこと。

必ずしも、
それができなくても、
誰かにつなげられたら、
それも幸せなこと。

どこでどう、
つながっていくかなんて、
誰にも、分からない。

命をつなげることしか
残せなかったとしても、
それはそれでいい。

(参考)母性(湊かなえ)

No.5815


モモ(ミヒャエル・エンデ)

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