およそ人の行為は、
それに関係ない者が
一番その機密を
知りたがるものである。…
世にはそういう人がいるものである。
彼らはもとより
自分には何ら関係のない
それらの謎の鍵を得んがためには、
多くの善事をなし得て
あまりあるほどの
金と時間と労力とを費やす。
そしてそれもただいたずらに
自分の楽しみのためにするのであって、
好奇心をもって
好奇心をつぐのうばかりである。
(レ・ミゼラブル、ユーゴー)
噂好きな人を、
たぶらかすというか、
いじって遊ぶのが上手な知人がいた。
才能ある自分の娘について
知りたがって
聞いてくる人に
もっともらしい作り話を
聞かせてあげるのだ。
「○○高校に入る」
「△△部を辞めた」
「××高校に転校する」
どれも、
意外で面白そうなので、
噂として広まっていく。
そのうち、
違う話がまた出てくる。
自分に関係ない秘密ほど、
面白おかしければいい。
だから、無責任な噂が、
どんどん広まっていく。
そして、誰も責任をとらない。
噂を信じた方がバカなのだ。
そして、だいたいは、
その噂につきあって多大な時間を
消費していようとも、
何も失ったような気がしないから、
罪深い。
(参考)レ・ミゼラブル(ユーゴー)
No.5922