同じ経験というのは、あるいは、
この世にはないのではないかと、
気づいたのである。
つまり、わたしの経験と、
彼女の経験は似てはいるがちがう。
何がちがうか。
経験した人の性格、生き方が
ちがうということである。
(丘の上の邂逅、三浦綾子)
わかる、わかるー、
と言われたときに、
話してみればみるほど、
違うんだけどなぁ、
と感じることがあります。
同じように、私も
「その感じ、わかる」
と言っているときに、
けっこうズレているかもしれない、
って思い直したほうがいいんだろう。
自分より若い人の話を聞いて、
「そんな経験なら、俺もある」
みたいなことを言っているうちに、
武勇伝になったり、
結局は説教になったりするのは、
「わかりたい」という気持ちよりも、
他の感情が強いからなんでしょうね。
若い時の「わかる」は、
未来に拓けていく。
けれど、
歳を重ねていく時の「わかる」は、
過去を引き出してるだけの場合も多い。
気をつけないとなぁ。
(参考)丘の上の邂逅(三浦綾子)
No.5979