人は一生の間に
いくつ答えがたい問いを抱え、
いくつ答えを出してゆけるだろう。
問わなければ、答えもない。
(作家的時評集2008-2013、高村薫)
答えが必ずある、
と思うのと、
答えが必ず分かる、
と思うのとでは、
ちょっと違うんだろう。
さらには、
答えが分かっても、
自分がその通りに
行動できるとは限らない、
という状況も加わる。
だから、
答えを分かっているけど、
分かっていないような行動を
とってしまう人に、
答えを分かっている別の人が、
知ったかぶって、
こうするのが正解だから、
やってみたらいいよ、
(やらないほうがいいよ)
と言ったところで、
あまり意味がないのだ。
分かっているのに、
やっていない、やれないのだから。
そんなこと、あるかよ?
と冷静な時には思うが、
金儲けの話とか、
努力するしないの問題とか、
恋愛やモノに執着している時とか、
当てはまる場面は、意外と多い。
「答え」は言葉でしかない。
しかし「人生」は
言葉だけではないんだな。
(参考) 作家的時評集2008-2013(高村薫)
No.7354