向く、向かない、…

向く、向かない、
で生きてくことは出来ないよ。
大体の人間がね、
生きていくには向かないもんだよ。
傷ついたり、苦しんだりした時には、
自分が殻をはずして
歩いてる海老みたいに思えるものさ。

でも、何とかやっていくんだ。
そうしながら、
色々な経験を積んでいく。
そうして、少しずつ
何かが見え始めるんだ。

(ひとがた流し、北村薫)

昔の作家のように、
この社会は生きにくい、
とか言えば、何かしら
カッコいいような気もするが、

おそらく、今の時代に限らず
どの時代に生きた人にとっても、
「生きにくい」と思える部分は
何かしらあったんだと思う。

そして、これからも、
ほとんどの人にとって、
そういう部分はあるだろう。

それは、
暑いとか寒いとか、
広いとか狭いとか、
環境にかかわることでなく、
やっぱり「他人の目」
なんじゃないだろうか。

本当にあるかどうか
分かりもしない「他人の目」を
気にしながら生きていくことが
「生きづらい」のだ。

それが全くなければ、
きっと、生きづらくもない。

でも、自分という人間が生きていて、
自分のなかに「他人の目」がある限り
生きづらいながらも、人は、
出来ることを前に進めて生きていく。

(参考)ひとがた流し(北村薫)

No.7576


置かれた場所で咲きなさい(渡辺 和子)

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